潤滑剤としては、液体の潤滑油、潤滑油を固化させたグリース、固体潤滑剤などがある。
潤滑油 [編集]
一般に良く使われる潤滑油は石油精製物である。目的に応じて粘度・精製度・添加物等の異なるグレードが市販されている。潤滑油の粘度はVG値で表されるが、これは40℃における動粘度(cSt)センチストークス値に相当する。低速のウォームギヤ用のVG460はねっとりとした油であり、油圧用に使われるVG46の粘度は大豆油に近い。潤滑油として最も低粘度のVG2は低荷重・高速用に使われ、サラサラの油である。
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また潤滑油の粘度は温度に依存し、温度が高くなると粘度が低下する。潤滑油としては温度による粘度変化が少ない方が望ましい。温度による粘度変化の大きさを粘度指数と呼び、この数値の高い方が粘度変化の少ない良い油である。一般の潤滑油は粘度指数80以上であるが、一般油圧作動油は粘度指数106?113、航空機用の作動油は120?140のものもある。
添加剤としては、エンジンオイルに使われる極圧添加剤は亜鉛やモリブデンなどの金属系化合物を主体とした添加物であるが、シリンダーやピストンリングの表面に吸着して潤滑膜を形成し、境界摩擦状態でも母材を保護する。上記の粘度指数を改善する目的で粘度指数向上剤が使われる。
グリース [編集]
グリースは増ちょう剤に潤滑油を保持させることで揺変性(チキソトロピー)を与えた、粘着性の潤滑剤。揺変性物質は静置状態では流動せず、外から力を加えられることで流動性を示すが、流動に要する力の大きさをちょう度と呼び、ちょう度が大きいほど硬いグリースである。グリースは温度が高くなると増ちょう剤の3次元網目構造の崩壊などにより、静置状態においても非流動性を保てなくなるが、その温度を滴点と呼んでいる。
固体潤滑剤 [編集]
固体潤滑剤には黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:テフロン)等が使われている。何れも表面の硬さが低い、融点が高く焼きつきにくい、化学的安定性が良いなどの性質を有している。
EHL(弾性流体潤滑) [編集]
潤滑状態の種類として新しく知られるようになったものに、EHL(弾性流体潤滑)がある。これは玉軸受けの潤滑状態が旧来の潤滑理論では説明がつかない事から見出された理論である。分かりやすく言うなら、下記のジャーナル軸受けの説明に出てくる油膜圧力が大きくなると、硬い軸受け鋼の表面も弾性変形して窪みをつくって油膜を保持しやすくなり、油膜面積が広がって面圧を下げることにより良好な潤滑状態を保つというものである。この効果を生み出す運動としては、相対運動をする面が傾いていることによる「くさび膜効果」、面同士が急激に近づくことによる「絞り膜効果」が知られている。もちろん、これらの組み合わせもありえる。柔らかい軟骨を介して運動する生体関節における潤滑や、雨の日に長靴がマンホールの上では滑りやすい、などがその具体例と言える。
なおジャーナル軸受けの潤滑では、軸の回転によりオイルが軸受隙間に引き込まれることによって、圧力が発生し(油膜圧力)、軸と軸受との接触を防止し(流体潤滑状態)、軸・軸受の磨耗を大幅に減少させることができる。